青森県の新たな伝統工芸としての道を歩み続けている「津軽金山焼(つがるかなやまやき)」は、地元の土を地元の山林で風雪に耐えてきた赤松で焼き上げた陶器。深みのある独特の風合いと、日常雑器としての使いやすさが大きな魅力です。
津軽金山焼
津軽金山焼に魅了された若い陶工も多く育っており、窯元(松宮亮二氏)のもと、20代から30代を中心とする14名の陶工が自らの腕と感性を磨きながら、日々作品づくりに打ち込んでいます。また、陶工の中には海外(中国2名、ペルー1名)からの研修生も含まれ、金山焼が世界に羽ばたく日も遠からず来るに違いありません。
若き作家の金山焼にかける想い
野呂さんは、青森県黒石市出身で、関東の大学を卒業後、自分が本当にやりたいことは何なのかを模索しながら、地元のパン屋さんでアルバイトをしているとき、以前から興味のあった、市内にある陶芸教室へ遊び心で通っていたそうです。
金山焼との出会い
2002年8月に五所川原市のつがる克雪ドームで開催された「青森世界薪窯(まきがま)大会2002」で市民ボランティアの募集があり、最初は興味本位で参加したところ、津軽金山焼の窯元と出会いました。将来の話をしているうちに興味が本気になり、手に職を付けたいと思っていたことも手伝い、窯元に誘われるまま、同年9月には金山焼の門をくぐることになり、その後は、修行に明け暮れ、現在に至っているそうです。
作品づくりで思うこと
金山焼は日常雑器ということもあり、自己満足ではなく、使う人を第一に、万人に受け入れられるものを作りながら、見た目も考え、如何にあるべきものの中に自分を表現するかを常に考えているそうです。
自分自身の作品に対する評価
普段は創作に没頭しているが、たまにイベント等で直接お客様に接する機会があり、「あなたが理紗さんなんだ~、あたしいつもあなたの買ってるんだよ~、すんごくいっきゃ~(すごくいいよね〜)」と、自分の創ったものが買った人に喜んでもらえていることが一番うれしいと笑顔で話す。また、金山焼ではお客様からのオーダーも受けており、お客様の色々な要望に応えることで、技術も身につくし、とても勉強になるとも語ってくれました。
今後の夢・目標
日常雑器以外の大きな芸術作品にも挑戦してみたいし、現在行っている漆とのコラボ的なものをもっと増やしていき、異業種(人・物)とのコラボ企画で新たな金山焼を見つけてみたいとしながらも、一番大きな目標は、金山焼を青森県の産業として根ざしていき、「次世代につないでいくのが務めだと思っている」と今までの笑顔から一転して真剣な顔で語ってくれました。
主な作家による金山焼の作品紹介
テーブルウェア・フェスティバル2013 ~暮らしを彩る器展~への出展
金山焼の本フェスティバルへの参加は16回目となることから、首都圏での知名度も向上し、日常雑器としての使いやすさも浸透したことでファンも増加し、会場内での売上げもここ数年常に上位に位置しています。
今年は、若手陶工の感性も取り入れながら、実用性はもちろんのこと、芸術性も高い新作を揃えた「マイスタイルセレクションコーナー」 への出品とともに、販売ブースでの直売も実施しました。
テーブルウェア・フェスティバル2013 ~暮らしを彩る器展~
開催日時 | 平成25年2月4日(月)~11日(月・祝) 10:00~19:00(入場は閉場の1時間前まで) |
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開催場所 | 東京ドームシティー |
入場料 | 前売券1,700円 当日券2,000円 |
URL | http://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/ |
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旬の食材 2010年6月号「青森の工芸品」