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産地レポート 〜 生産者の声 〜

高級食材「丸いも」…小笠原 義高さん(五戸町)

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五戸の「丸いも」

写真 丸ぁ〜るいどっしりとした芋。これが「丸いも」。品種は加賀丸いも系統。加賀丸いもは、ヤマイモの一種で、関西ではつくね芋とも呼ばれている。
 一般に「ヤマイモ」とは、里で採れる芋「サトイモ」に対しての呼び名で、山に自生する自然薯、円筒形のナガイモ群、先端が扇形に広がるイチョウイモ群、球形のヤマトイモ群などの総称で、この名が指す品種は地方によって様々。 青森でも「つくね芋」「丸いも」という呼び方をしている。
  主に、高給料亭の料理や和菓子に使われる。丸い形が円満を表すといって縁起物として、贈答用にも使われたりする。

「丸いも」の栽培

 11月、五戸町の小笠原義高さんの所では、ネットを外し、つるを刈った畑で「丸いも」の収穫が行われていた。
  青森県では支柱に張ったネットにつるを絡ませるのに対して加賀地方では、棒を立てるとともにその上部にひもを張ってそれに絡ませているという。青森県三八地域県民局地域農林水産部普及指導室の技師 北野拓磨さんは、「株当たりの日光の当たる量は青森県の作り方の方が有利だと思います。夏が短い青森県に適していると思います。」という。

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つくねいも(紅葉前)
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つくねいも(紅葉)
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支柱に張ったネット
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ネットに絡んだつる
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収穫の様子
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小笠原さん
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北野さん
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新潟県妙高町の丸いも畑
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加賀丸いも畑

写真 小笠原さんは、この地で、昭和58年「丸いも」を最初に転作作物として植えた。土壌水分を必要とするため、転作田に適していたという。減反政策をきっかけに、以後、米あまりの状況になって、農家は“転作作物”の選定に頭を悩ましていた。小笠原さんも何を植えようかと日々悩んだという。たまたま本で「丸いも」のことを知り、これだと思ったという。理由は、価格。初めて作った「丸いも」は、10kg7,000円で売れた。米より良い値段だった。それを聞いてやりたいという人が、次から次へと現れた。現在、「丸いも」生産部会は58人。小笠原さんは生産部会長を務める。
 その後、畑での栽培を試み、大丈夫ということで畑作へと移っていった。

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土と芋の区別がつかない
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堀り上げられた芋
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根が絡み合っている


普及指導室の技師 北野拓磨さんは、
「加賀地方との栽培面での違いですが、加賀地方では水田の転作作物として栽培されており、長雨時に過湿とならないよう高畦(40cm位の高さ)に植え付け、干ばつ時は畦間に水を流し込んだりして土壌水分が適度になるようにしています。五戸では、小笠原さんのように畑で栽培されることが多いので、土壌水分は天気の影響を強く受けてしまいます。それを少しでも防ぐためにマルチフィルムを土に、被覆することで、土壌の水分の蒸発を抑えて一定に保たせる工夫をしています。」

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畑は山の中
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土中にこのように
埋まっています
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支柱を基点に
ちどり植えに…
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マルチ
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丸い形が良い芋
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全部が全部丸いのは難しい
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中央に穴が・・
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大きくなると
土を持ち上げる

 「丸いも」栽培は、とにかく水分が重要らしい。
 「丸いもの特徴として、8月下旬から9月下旬の約1ヶ月間に急激にいもが大きくなります。この時期に畑が乾燥してしまうと、丸い形のいもにならずにデコボコのいもができやすくなってしまうので、土壌水分には注意が必要なんです。」と北野さんはいう。

 「丸いも」は、栽培が難しく、生産増加が簡単に出来ないため、高級食材として通ってきた。「丸いも」は、長芋のように「むかご」ができないというより、できても少量で、とても小さい。小豆大だ。このむかごを種芋に育てるには、2年掛かるという。その中から、良い物を選抜していくため、種芋の数はさらに少なくなる。

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ながいもムカゴ
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丸いもムカゴ
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北野さんと小笠原さん

 そのため、小笠原さんは、切芋栽培(大きい丸いもを切って植え、芽を出させ、それを畑に植える方法。)をしている。それでも、2〜3年に一度、加賀から種芋を買ってきて植えるという。先祖帰りというか、2〜3年もするとあまり良い芋ができなくなるという。

 収穫した「丸いも」は、一つずつコンプレッサーで土を飛ばし、沢山の根はバーナーで焼く。綺麗にした「丸いも」は箱に詰められ、主に関東・関西に送られる。

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風邪で2日ほど乾燥
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収穫したてのつくね芋
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コンプレッサーで
土を吹き飛ばす
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土を飛ばした後。
まだ根が・・
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ひげ根を焼くバーナー
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出荷準備
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出荷するときには
こんなに綺麗に
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選別は7段階
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おがくずを入れる
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乾燥防止と緩衝剤として
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出荷箱
 

 高級食材として知られているため、あまり一般家庭の食卓に上ることのない「丸いも」だが、「とろろ飯」「山掛け」「天ぷら」などにすると、その強力な粘り(すり下ろしたものをはしでつまみ上げることが出来る)で濃厚な旨さを表出する。「お好み焼き」に入れると、とても贅沢な「お好み焼き」となる。

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粘りが強くはしで持ち
上げても落ちません!
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磯部焼き
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お好み焼き

 山の芋の一番の特徴は、消化酵素のアミダーゼ等を多く含み消化を助けること。滋養強壮・虚弱体質改善・疲労回復や病後回復にも良いと言われている。
つまり「丸いも」は健康食材。

 収穫が終わって一段落した12月、小笠原さんは、サクランボのオーナーと観光農園(ブルーベリーとサクランボの収穫体験農園をやっている)に来てくれている米軍三沢基地の人達を招いて、会を催した。

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サクランボのオーナー
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収穫感謝祭
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サクランボ・りんご
・ブルーベリー園
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りんごの古木
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収穫体験園
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家族・親戚で・・
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手に水をつけないと
くっつく
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つなぎを入れなくても
大丈夫
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丸いもお汁粉
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丸いものすいとん
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自家製漬物
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丸いもの焼き芋
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薪ストーブでの焼き芋
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焼き芋の断面
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煮た丸いも


 五戸の地元の食文化も体験して欲しいとの想いもあった。
 丸いも汁は、鶏肉・ゴボウ・キャベツ・ニンジンなどが入った醤油味の汁物。丸いもをすり下ろし、手に水を付けて(そうしないとくっついてしまう)、薄く伸ばし、湯通し、汁鍋に入れる。お汁粉もお餅ではなく、丸いも。これが、実にヘルシーで美味しい。「丸いも」の焼き芋も甘くて美味しい。
 家族・親戚一同でもてなし、賑やかで楽しい会を開催する・・・。農業を通して人の和ができ、一緒に楽しむ・・・。そして、また、来年の実りへと動き出す。小笠原さんは、自ら“楽しむ農業”を実践している。


小笠原さんの横顔 1

 小笠原さんは、銀杏も栽培している。重量作物の「丸いも」は年齢を重ねると運ぶのも大変だからと、収穫の楽な銀杏を「老齢作物」として選んだ。収穫は、樹を揺さぶり、下に敷いたシートに落とし、それを拾い集め収穫するという。
 この銀杏の樹、実は「健康の樹」だ。銀杏が身体に良いからというのではない。銀杏の若い樹の根は、ネズミのご馳走だ。そのため、随分と根を食べられ枯らされた。その駆除のために、樹の根元の雪が消え始めたとき、一本づつ樹の根元を踏み潰していくと被害が少ないことに気づいた小笠原さんは、まだ、雪が降り積もっている山の畑に毎日、徒歩で登って行ったという。1本づつ踏むのは重労働。汗びっしょりになったという。そのせいか、風邪を引くこともなくなった。だから「健康の樹」。今では、見事な銀杏並木になった。
 昔から、桃、栗3年柿8年ユズの馬鹿野郎15年、いちょうの気違い30年といわれる程結実に年数はかかっていたが、現在は栽培技術の進歩(品種改良・接木・等)により7〜8年で結実する。
  小笠原さんの銀杏の食べ方は、焼いて食べること。殻を剥くとほかほかの銀杏が黄色く光るという。

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銀杏は老後の楽しみ
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銀杏の実がなるまでに18年
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まだ若い10年目の樹
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銀杏の実(ぎんなん)
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風邪を引かなくなったよ
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銀杏畑
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築100年の小笠原さんの家
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南部の家の趣
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自宅の前庭

小笠原さんの横顔 2

写真 小笠原 渓雲  細字画展
 12月26日(金)〜28日(日)まで三沢のビードルプラザで開催された。 細かい文字で絵を描いていく。小笠原さんのお父様は、書道の先生だった。息子の小笠原さんには過度の期待が掛けられ、お父様には何を書いても誉められたことがなかったという。その反動で独自の細字画(細かい文字で絵を描いていく)に向かったという。 今では年に数回の個展を開き、ファンも多い。

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一つの作品に千〜三千程度の字で草花や人物、文字を表現。 和紙に毛筆で書くので書き直しができない一発勝負。 大きな作品では、完成まで3ヶ月程度要するそうです。
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小さな字は2mm程度の大きさなので、来場者には虫眼鏡を貸し出していました。

 

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