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産地レポート 〜 生産者の声 〜

青森の在来種「もちきみ」

写真

青森の在来種のトーモロコシ「もちきみ」
子供の頃食べた記憶のある方も多いと思うが、今では、ほとんど見かけることが無くなった。年配の方には懐かしく、この味を知らない世代には新鮮な味。

もちきみ 外形上現在のトーモロコシ
下もちきみ

今出回っているトーモロコシと比べると、細く小さい。
粒も黄色く揃っている今のトーモロコシと違い、「もちきみ」は、様々な色のつぶが不揃いに並び、所々抜けている。
甘さも、劣る。ただ、その噛みごたえは、「もちっ!」とし、重厚感がある。
今のトーモロコシが、甘く、食べやすくお菓子のような感じなのに対して、「もちきみ」は、“穀物”という感じだ。さすがに、イネ科の植物。危機が来た時には救ってくれそうな頼もしさを感じる。


一戸さんと萩原さん

このきみを栽培している「ホイちゃんマン」こと一戸 孝之さんと種八農園の萩原 拓さん。
一戸さんは、2014年春から、鍬と草刈り鎌のみで、全ての作業を人力で行う自然農(不耕起)による、完全自給農園「ホイちゃんマン太陽農園」を開設している。 完全自給農園とは、無肥料・無農薬・無除草・足踏み脱穀・手回し籾摺りで農作業をしているということだそうだ。
「農家であればとてもこんな手間のかかる農業は出来ない。暮らしていけない」と一戸さんは言う。

一戸さんと自然農園  

一戸さんは、農家ではない。あくまで、自給自足を目指し、家庭菜園の域に留まる。
なぜ、このような自給農園を続けているか。「今の食のあり方に疑問をもっていることと、 農家のために自分が在来種の種を保存していく」という意志をもっていることだという。
完全自給農園は、家庭菜園だからこそ出来る農業だと思うと一戸さんは言う。
自分の農園を実験場にし、有機栽培を実践している農家の手助けが出来れば良いと思っている。「青森県在来作物研究会」に入会し、種の保存に協力している。
こんな農業への係り方もある。


萩原 拓さん

一方、種八農園の萩原 拓さん。
萩原さんは、専業農家。顧客を持ち販売している。萩原さんは無農薬・無化学の有機農業をしており、「青森県在来作物研究会」の会員。
出身は埼玉県で、奥さんの実家がある青森にやってきた。
「もちきみ」は、栽培して3年目になる。もちろん、毎年、種取りは自分でやる。
萩原さんの畑は、山間部にある。
今年は、きみの育ちに異変があるという。通常であれば、1本から2~3本ほどの収穫だが、今年は5~6本採れるという。その分実入りが悪い。
害虫にも悩まされた。“アワノメイガ”というガに穂先をやられた。
虫の害の他にも、在来種のとうもろこし作りで悩ましいのは、とうもろこしが交雑しやすいこと。近くでハニーコーンやデントコーンを作っていないところを選んで栽培しないと交雑する。一般的に半径200mと言われるが、400mないと安心できないという。
萩原さんは、「近くにハニーバンタム等のトーモロコシがあるので、交雑していると思う」と言う。

  交雑が心配

高度経済成長期以降、日本中の種が、形質が均一で雑種強勢が働くF1(一代雑種)に代わり、規格が揃って、経済効率性が高い作物に変わった。
在来種とF1種(一代雑種)の大きな違いは、採った種を翌年蒔けばまた同じように育つかどうかの違い。
在来種であれば、可能だが、F1では、違う物や形の崩れたものが出来、決して同じものは出来ない。これが故に、農家は毎年種を買う。昔は、農家が自家で作物から種を採る自家採取だった。

F1種が広く広まり、形状・形質の揃った流通に乗りやすい作物が主流になるにつれ、形の不揃いな昔野菜は、作る人も無くなり、片隅へと追いやられた。

しかし、ここにきて青森の若い農家、それも新規に就農した農家が青森の在来種に興味を持ち、植え始めている。青森県在来作物研究会を中心として、在来種の種を残そうとしている。彼らの一番の興味は、どんな味がするのだろうという疑問。
興味とロマンが入りまじった感情。喜々として種苗交換会で種を交換し、育て、味わう。
農地の視察や味わう会を催し、情報を共有する。
8月6日、南郷に集まり、在来きゅうりの「糠塚きゅうり」の研究会が開かれた。
沢山の料理も並んだ。

   
糠塚きゅうりのシャーベット イタリアンにも
  糠塚きゅうりのスープ

農家の高齢化が進み、在来種を守れなくなってきている現状で、若い人たちのこの取組は、
確実に次代に繋がっていく。種が無ければ、作物は作れない。まさに「種を守ることは、生命を繋ぐこと」



掲載日 2017.9.1


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