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消費地レポート

第93回

東北女子大学
教授 加藤 秀夫 氏

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【加藤 秀夫 氏 プロフィール】
1947年 大阪市生まれ。1970年徳島大学医学部栄養学科卒業。1977年大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。現在、東北女子大学家政学部長。県立広島大学名誉教授。日本栄養・食糧学会理事(3期6年)、日本栄養改善学会副理事長(2013年11月まで)、第58回日本栄養改善学会(2011年・広島)学術総会会長、第8回食育推進全国大会(2013年)広島県実行委員会会長。食事の量や内容だけでなく、からだの体内時計とのコラボレーションである「時間栄養学」の重要性を健康と医療の分野に展開している。

<主な著書>
『時間栄養学』(共著・2009・女子栄養大学)、『健康の科学』(共著・2001・化学同人)、ほか



人生いろいろ、野菜も色いろ

 炊きたてのご飯、温かいみそ汁など…、料理に食べごろがあるように、野菜にも今が食べごろ、という旬の時期があります。旬の野菜は水々しく栄養価も優れ、たくさん出回るため低価格で購入できます。栽培方法の改良と流通も整備され、鮮度と栄養に富む野菜が食べられるようになりました。地域によって風土も異なり野菜の旬の時期も違います。私たちの日常の健康管理、健康づくりの心構えとして、旬による食育を表現するため健康歳時記にならった県産野菜の旬時計を作成しました。

図:旬時計

 2時の2月は寒締めほうれん草、3月には雪下にんじん、8月は嶽きみ(とうもろこし)、10月は一球入魂かぼちゃです。寒さで甘みが増した冬野菜はおいしさ2倍、身体を温める効果が3倍になります。ほうれん草は夏採りよりじっくり培った冬採りの方がビタミンCも3倍多いです。結石の原因となるえぐ味のシュウ酸は寒さの影響で減り、栄養価、味ともに良くなります。ほうれん草はポパイの好物で緑黄色野菜の代表であり、βカロテン、ビタミンCやビタミンB群も多い優良野菜です。根元の赤い部分にも栄養が多く含まれているので、よく茹でて捨てずに食べましょう。旬の野菜はおいしさ2倍、健康効果が3倍の優れものです。

 ところで、青森県を含め寒い地域では、昔からさまざまな野菜を漬物にして保存し、今でも毎日のおかずとして食べられています。塩漬けは塩分量が心配ですが、野菜を茹でると減ってしまうビタミンCやビタミンB群は糠漬けや粕漬け、麹漬けによって増量します。次に生野菜、塩漬け、糠漬けそれぞれの栄養成分について比較してみました。

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  活動力を高めるエネルギー代謝にはビタミンB群が不可欠で、不足すると不完全燃焼で疲れやすくなります。ビタミンB群は疲労回復と密接に関係しており、特にナイアシンは肌荒れや口内炎に効果があります。


糠漬けはぬか喜びに終わらない

 米糠にはもともとビタミンやミネラルがたっぷり含まれていて、発酵させた糠床の栄養素が、野菜の中に浸透して栄養価がぐんと上がります。糠を洗い流しても、栄養分は野菜の中にしっかり残っています。たとえ健康に良くてもたくさん摂りすぎると塩分過多になります。減塩より"適塩"、毎日の食卓に少し添えるだけでも、疲労回復や美容に役立つビタミンB群、ナイアシンを補給でき、肌の健康に有益な食材なのです。

 それぞれの栄養特性(旬、栄養素)を理解して食べることで、食材の良さはさらにひきたちます。加工された飲み物やサプリメントで補うことができない野菜本来の力を、健康に役立ててほしいと思います。

 人生の「旬」も健康で長寿がいいですね。49歳の若さで素晴らしい生涯を終えた松尾芭蕉は「旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る」と、無念の句でした。一方、73歳で充実した人生を過ごした良寛の「散る桜 残る桜も 散る桜」の句から、ほぼ納得のできる人生を送ったと想像できます。やはり人生いろいろ、野菜も色いろです。

(助手 山田 和歌子 氏、田中 夏海 氏)


情報掲載:2015年2月15日



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