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消費地レポート

第89回

日本料理店「分とく山」
総料理長 野﨑 洋光 氏

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【野﨑 洋光 氏 プロフィール】
 1953年福島県石川郡古殿町生まれ。 1980年に東京西麻布の「とく山」料理長に就任。1989年に「分とく山」を開店、現在は5店舗を総料理長として統括。TV,雑誌など各種メディアを通して、調理科学、栄養学をふまえた論理的な調理法に基づくわかりやすい和食を提唱。最近では子供たちの食育にも力を入れている。
 著書に「日本料理 味つけ便利帳」(柴田書店)「野﨑洋光の一膳ごはん」「つなげていきたい野﨑洋光の二十四節気の食」(家の光協会)他多数。


 平成26年2月2日青森県食の安全・安心推進課主催「あおもり食命人の食フェア」記念トークでの野崎 洋光氏の講演「台所が命を支える」より、抜粋掲載させていただきました。

演題「台所がいのちを支える」

 昨年12月5日「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。それ以前に、京料理での登録を試みたのですが、それは個別の料理としてみなされ登録されませんでした。
 「和食」が無形文化遺産に登録されてから、雑誌社から「和食」ってなんですかと言う質問を受けました。「和食」の基本は、一汁三菜です。 三菜は、バランスのとれた副菜です。 一汁とは、味噌汁です。ご飯には、味噌汁でなくてはいけないのです。 それは、ご飯が淡泊であるため、味の強い味噌汁でなくてはならないからです。

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 青森県は短命剣だと伺いました。塩分の取りすぎが取りざたされ、厚生省では1日6gの摂取を進めていますが、人間の塩分排出量は15gです。
 青森県は、カップヌードルの消費量が日本一だそうですね。2008年に5月25日朝日新聞のbeに"味の分かれ目関ヶ原"というタイトルでカップヌードルの事が出ていました。西と東ではカップヌードルの味が違うというものでした。
 大学の先生が地域差、寒いところは塩分を好むため味が濃い、地産地消の盛んな西ではそれほどでもなく、関東の醤油文化は西洋のソース文化だからということが書いてありました。日本地図の分布で行くと、東北は寒いので塩分を多く摂取し、西の方はお公家さんの文化で薄味だと定義させていますが、これは違うと思います。塩分を好むのは、暑い地方の人達で東北ではないのです。東北の人達は、塩分を好むのではなく、保存しながら生きるということを身に着けてきました。 漬け物にして保存してきたのです。

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 江戸時代、江戸は世界的な食文化の都でした。 ナイフとフォークの食事は、まだ250年程しか経っていませんが、箸の文化は、鎌倉時代に三食の食事回数になり、一汁三菜の食文化が出来、一般の人々に普及したのは、江戸時代です。江戸時代から400年、和食は、箸一つで何でもできる食文化として経てきました。箸の文化は、膳での食事であったため、下向きとなり、自然と口元が隠れ、口の中を見せるということが無く、また、自然と口元を隠す風習になりました。
 一汁三菜が江戸時代に広まった理由は、磁器の茶碗が出てきたからです。これは、1952年太公秀吉が朝鮮に出兵し磁器を持ち帰り、陶工も連れてきたからです。国産の磁器が広まると、庶民も磁器の食器を使うようになったのです。 磁器が広まってから、庶民は磁器の茶碗にごはんを盛るようになり、「ごはん茶碗」と呼ぶようになりました。

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 米の味は、日本人にとって最高のものであり、毎日「飽きがこない食」が「ごちそう」です。 日本料理の塩分の割合は、食事全体の0.8%が基本です。おかずの塩分をごはんで希釈して食べるのです。
 先ほど、青森の「けの汁」を頂きました。8種類ほどの具材が入った味噌仕立てのものです。 具材が沢山入っているのは、田舎の汁です。関東は、カツオと昆布のだし汁です。これは、プロの料理人とメディアの影響です。素材が良ければ出汁はいらないのです。 切り干し大根は、旨味の凝縮したものであり、これを煮るのに出汁はいらないのです。 素材の旨味で十分です。 ヒジキは昔、油揚げを入れていましたが、豚肉コマやベーコンを入れると美味しいです。
 食は、土地の文化と歴史として次世代に伝えていかなくてはいけないと思いますが、時代に受け入れられるには、そのまま伝えるのではなく、時代に合わせた調理法も必要です。
 お正月のおせち料理、今でこそ色とりどりで華やかになりましたが、昔は、祝い肴は数の子、黒豆、なますと焼きもの、煮しめが一般的でした。それぞれに、業としている生活に感謝の気持ち、喜びの気持ちが入っているのが日本食です。昆布は喜んぶ等です。

 竜田揚げって、いつでも使ってはいけないということを知っていますか。材料に染み込んだ醤油の色が紅葉のような色合いになり、紅葉の名所である竜田川に紅葉が流れる姿から命名されたとされているから秋でなくてはいけないのです。吉野は桜の名所で春です。
 おから料理の「卯の花」は初夏の言い方。4月頃にきれいな白い花を咲かせることことから「卯の花」、冬は「雪花菜(きらず)」と言います。
 おはぎも春は「牡丹(ぼた)餅」秋は「お萩」、それでは夏や冬はなんというか知っていますか。 夏は「夜船」。おはぎは餅と違い、音を出さずに作ることが出来きるため、いつ、ついていたわからない「つき知らず」→「着き知らず」から、夜は暗くて船がいつ着いたのかわからないことから「夜船」。冬は「北窓」。 月が見えないのは北側の窓だ、ということから、「月が見えない 搗が無い」→「月知らず」と月を知らない、つまり月が見えないということで「北窓」。
 日本人は、人生を楽しむため二十四節気に季節と暮らしのけじめを付けたのです。

 流通、冷蔵技術が発達し、楽になったのに、お母さん方は料理を作らなくなりました。プロやメディアの影響で、料理の手間が過重になり、仕込みしてしまうからです。プロが正しいわけではありません。味を付けなくても美味しい家庭料理があったはずです。一汁三菜のバランスが崩れ、この頃は主菜ばかりになりました。
 昔から家庭にあったお爺さん、お婆さんの知恵を活かすべきです。食は家庭で支える、家庭こそが命の宝庫です。

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情報掲載:2014年6月15日



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