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消費地レポート

第87回

食と農研究所 代表 加藤 寛昭 氏

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【加藤 寛昭 (かとう ひろあき)さん プロフィール】

ライオン(株)にて食品の営業、 企画、製品開発を担当。 平成11年より(株)オムロンの農業参入にあたり、農産物のブランド構築、販路開拓を担当。平成15年に「食と農研究所」を設立。食と農、都市と地方、工業と農業の連携が日本の食を守るとの熱い想いから、主に農業分野に軸足をおいたコンサルタント活動を展開。中小企業診断士、6次産業化ボランタリープランナー、一般社団法人 食農共創プロデューサーズ 理事、本場の本物認定委員会座長。

著書:アグリベンチャー(共著・中央経済社)ほか。

 

いま、フランスがおもしろい!

 昨年の5月に1週間ほどフランスに行く機会がありました。訪仏の契機は、フランスのカンブルメールで開催される「食の祭典事務局」から本場の本物(*1)の認証機関である 一般財団法人 食品産業センター(以下センター)への招待によるものでした。その主旨は日本の加工食品の地理的表示認証制度「本場の本物」が、フランスにおけるAOC(*2)の認証制度に似ているので意見交換をしたい。同時に、食の祭典にゲスト出展者として招待すると言うものでした。
 センターの呼びかけに応じて事務局、審査員、認定事業者、農水省等から総勢12名でミッションが結成されました。

 一つ目の目的としてのブランド認証とその管理についての意見交換会等では日本の食品における地理的表示認証に関する現状やブランド管理に対する取組状況等々について意見交換を行いました。日本もEUと同じように、こうしたブランド管理を通じて伝統的な食品を守って行こうとの呼びかけを受けたところです。

 二つ目の目的としての、本場の本物のプレゼン展示については、今回次の5つの認定商品すなわち、①ひだ高山山椒、②枕崎本枯節、③岡崎八丁味噌、④大豊の碁石茶、⑤奥久慈の凍み蒟蒻を出品しました。これらの商品はいずれも個性豊かな地域伝統食品ではありますが日本国内でもあまりメジャーな商品ではありません。まして食文化や食習慣の異なるフランスの人たちに理解してもらえるだろうか、といった懸念がありました。
 その為に事前にいろいろな工夫をしていきました。

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 山椒は香りが"命"。だからその爽やかな香りをかいでもらうために石臼を持っていき、山椒の実をフランス人の前で挽いてみてもらう。更に味を知ってもらうためにフランス人の良く食べるチーズに振りかけたものを食べてもらいました。
 鰹節も "香り命" の思いで "本枯れ節" と "鉋(かんな)" を持っていき、目の前で削ることにしました。
 八丁味噌は洋風なソースに仕立てラスクに乗せて食べてもらいました。また、調理実習も行いました。
 碁石茶は紙容器のドリンクタイプのものを飲んでもらいました。
 凍み蒟蒻は乾燥させたものとみずに戻したものの両方を展示して実際に手にして触感等を直接確かめてもらうように準備をしました。


フランス人の反応

 私たち全員が、フランス人がこれらの日本食にどのように反応してどのようなリアクションをとるのかが気がかりで心配でした。でも、そんなことは全くの杞憂であり逆にその受入の良さにびっくりもしました。初めてみる日本の食材にフランス人はなんの躊躇もなく興味一杯で挑戦してくれました。この山椒を買いたいがどこで買えるのかといった質問も多くありました。鰹節を使っての"出汁"の説明にも素早い反応が有りました(今回の通訳の素晴らしさを感じた時でもあります)。さすがにフランスは食の国であることを痛感させられました。

<ブースの様子>
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うん、チーズとジャポンサンショの
組み合わせはいけるじゃない!
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おい、こんな鰹節、はじめてだな。
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碁石茶ちょうだい!
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八丁味噌を使っての
調理デモンストレーション

今回の成果

 2日間の催事でしたが次のような具体的な商談が実現して、参加者全員が予想外に大きな成果を得ることが出来ました。

山椒:
パリの有名百貨店からオファーがあり山椒の実の輸出の商談が始まりました。
鰹節:
フランスでの需要性が大きいと見込めたので、帰国後急遽フランスに工場を作る事にしました。これには、日・仏の関係機関等からの大きな期待と支援を頂くことできて話が急速に展開をしています。明年、ミラノで開催される万博には、フランスで加工された"枕崎の鰹節"を出品出来そうです。また、ヨーロッパに進出済みの大手企業から販売面で協力が得られることも実現しそうです。
八丁みそ:
すでにフランスでは醤油と並んで日本の代表的な基礎調味料として浸透し始めており、今回のデモンストレ-ションで更に一般の人たちにも知っていたくことが出来ました。
碁石茶:
酸味のある味がワインに共通するのでしょうか好評でした。早速現地の日本食卸店から取扱のオファーがありました。
凍み蒟蒻:
ダイエット食材として、早速蒟蒻の粉の輸出の商談が始まりました。

成功だった理由

 こんな大きな成果が得られた要因としては次のような事が挙げられると思います。

  • 単なる物の展示や説明だけでなく、どのようにして商品を理解してもらうかの工夫を 考えて仕掛けを用意したこと(香りをかいでもらう工夫、現地の食材に合わせた食べ かたの工夫等々)。  
  • 現地の通訳が素晴らしかったこと。
    現地に40年近くも住んでおり、日本食やフランスの食文化に詳しく、持ち込んだ食材についても正確な解説ができるだけのフランス語と商品知識、商習慣、商流等に大変詳しかったことが最大の成功要因だったと思います。
  • 出品した商品がいずれも本物であり品質、機能性にフランス人の食品に対する期待を満足させることができたこと。

挑戦しようよ、海外市場に!

 ユネスコで「和食 日本人の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録が決定され、いまや和食の素晴らしさが世界中に認知されようとしています。私たちも、出発するまでは不安で一杯でしたが、現地で直接フラン人に接して、そうした不安は全くないことを実感しました。きちんとその商品のなんであるか、どのように調理するのか、どのような食べ方があるのか等々を伝えることができれば、外国であっても十分にビジネスとしてもなりたつことを感じ取りました。

 ただ、その為には事前の準備とそして何といっても現地での優秀な通訳を如何に確保するかが大事なことだと思います。次いで現実的な対応としては、実際に販売を担当してくれる流通業者の確保だと思います。
 では、どうしたらそうした人を探すことができるかといった大きな課題が有りますが、今回私たちは、現地の日本大使館やJETROの方々にお世話になりました。駐日フランス大使館にもお世話になりました。

 それから、海外でのビジネス展開を図るに際しては、自分だけとか自分たちの業界だけと言う単独でのプレゼンより、いくつかの業種が共同でプレゼンをすることを考えるのも効果的と思います。
 青森なら青森県として青森のブランドで総合的にミッションを編成する等が考えられます。青森にしかない食材を、青森の美味しいものを紹介したいですね。そして、何より定着するまでは継続的にこうした活動を展開し続けることが大切だと思います。

<パリの日本食卸店>
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パリの日本食材を扱う
販売業者の店舗外観
ただ単に、食材を販売するだけでなく、パリ近郊のシェフがテストキッチンで自由に調理研究できるスペースを提供している。
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和食の卸屋さん(日本人が経営)に
必要な基本食材はほとんど揃っている。
海産物の加工食品の輸出はヨーロッパHACCP認証工場で生産された商品でないと輸出できない。従って現在はイギリスで加工したものが販売されている。

*1
本場の本物とは、(一社)食品産業センターが認定機関であり、狙いとして日本各地の豊かな伝統的食文化を守り、育てるために設けられた地理的表示認証制度いわば、地域食品ブランド認証です。生産者の原料(国産品を原則)と製法へのこだわりの証です。現在33品目が認定されています。詳しくはホームページをご参照ください。
*2
AOCアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(仏: Appellation d'Origine Contrôlée)は、フランスの農業製品、ワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証であり、製造過程及び最終的な品質評価において、特定の条件を満たしたものにのみ付与される品質保証である。日本語に訳すと「原産地統制呼称」「原産地呼称統制」などとなる。フランスの原産地呼称委員会が管理している。


情報掲載:2014年2月15日



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